埼玉県さいたま市大宮区の弁護士事務所
池上雅弘法律事務所
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借金の整理の方法(任意整理)
借金の整理の方法には、①任意整理、②法的整理があります。①任意整理は、裁判所の関与なく借金を整理する方法であり、②法的整理は裁判所の関与の元、法律に基づいて借金を整理する方法です。以下、任意整理について、ご説明します。
1 任意整理のメリット
任意整理をした場合のメリットは、返済総額の減額です。以下、具体的に説明します。以下の表は約束通りの返済をした場合の支払総額です。
(1) 借入金300万円の場合の支払総額
月額5万円 | 月額4万円 | 月額3万円 | |
年利15% | 558万5090円 | 891万2876円 | 完済不可。 |
年利10% | 417万8032円 | 472万5902円 | 647万3380円 |
年利5% | 345万9942円 | 360万4609円 | 388万8278円 |
* 300万円を年利15%で借りますと、一ヵ月3万7500円の利息が付きますので、3万円の返済では完済が出来ないのです。
(2) 借入金200万円の場合の支払総額
月額5万円 | 月額4万円 | 月額3万円 | |
年利15% | 278万8673円 | 315万6595円 | 432万3307円 |
年利10% | 244万2341円 | 259万7219円 | 293万571円 |
年利5% | 219万2162円 | 224万7097円 | 234万7609円 |
(3) 借入金100万円の場合の支払総額
月額5万円 | 月額4万円 | 月額3万円 | |
年利15% | 115万7481円 | 120万6054円 | 130万1150円 |
年利10% | 109万8201円 | 112万5762円 | 117万6127円 |
年利5% | 104万6175円 | 105万8097円 | 107万8745円 |
任意整理の最大のメリットは、利息部分を減額してくれる可能性があることです。利息には、経過利息、将来利息があります。経過利息とは、和解成立までの利息等です。将来利息は、和解後の利息です。経過利息は債権者との交渉の余地がありますが、将来利息は大部分の債権者がカットに応じてくれます。
2 任意整理のデメリット
一番大きなものは、事故情報の登録です。事故情報とはブラックリストと呼ばれていたものです。事故情報が登録されますと、登録されている期間は借入が出来ないと思ってください。しかし、事故情報は一定の期間経過しますと、抹消されますので、将来にわたって借り入れができなくなるものではありません。以下、事故情報が登録される期間をご説明します。
(1) 株式会社日本信用情報機構(JICC)の登録期間
当該事実の発生から5年を超えない期間
(2) 割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)の登録機関
任意整理の場合、事故情報が登録されないようです。
(3) 全国銀行個人情報センター(KSC)の登録機関
契約期間中及び契約終了日(完済していない場合は完済日)から5年を超えない期間
以上のとおり事故情報は一定期間経過後に抹消されますので、任意整理が必要な方は出来るだけ早く任意整理をした方がいいです。
3 任意整理によって借金の整理が可能である方
以上のように、任意整理には本来支払うべき利息をカットしてもらえるメリットがあります。しかし、債権者は、任意整理を希望する人すべてに対し、任意整理に応じてくれるものではありません。
(1) 支払の確実性
任意整理では、期限の利益喪失条項が入ることが一般です。この期限の利益喪失条項とは、もし、約束通りの支払が出来なくなった場合には、残金と完済までの利息を一括で支払うものです。例えば、200万円を毎月4万円の50回払いする合意ができた。しかし、10回支払ったところで、母親が病気になり毎月2万円の援助をしなければならなくなり、4万円の支払が出来なくなった。この場合、残り160万円を一括で支払うだけでなく、利息も支払うというものです。このように、任意整理には期限の利益喪失条項という厳しい条件が付されますので、支払いの確実性が要求されるのです。
(2) 支払の確実性の検討
ア 支払可能性金額の検討
これについては、家計全体の状況を作成し、確実に支払える金額を確定する必要があります。毎月の余剰金額を返済に充てるのは危険です。将来何が起こるか分かりませんので、、もしもの時のための資金を準備しておく必要があります。
イ 債権者が要求する支払期間と負債額
一般的な支払回数は、3年(36回)とする債権者が多いです。しかし、支払いの確実性、支払意思が認められる場合は、5年(60回)を超える期間を認めてくれることがあります。
(3) 任意整理をするかどうか。
毎月の支払可能額と債権者への支払必要額を比較し、支払可能であれば、任意整理で借金の整理をすることができます。他方、支払が不可能である場合、任意整理をあきらめて、法的整理をするほかありません。